オープンスペース 「撮影記」

      
このコーナーは最近の撮影を紹介します

第70回 「秋の乗り放題パス」の旅(2・3日目編)

 「秋の乗り放題パス」の旅2日目は、松山駅から伊予大洲駅行きに乗車した。車両はキハ32の単行で、車両後部の運転席右側にスタンディングポジションをとった。実は今回の旅は撮影よりも予讃線の撮影地ロケハンがメインの目的なのである。1日目も坂出駅から松山駅まで乗車中は同様のポジションに陣取り、沿線の状況(どちら側に架線柱・電柱が設置されているか、草木の生長状況、背景等)を地図に記録しながら乗車していた。車で沿線をロケハンしていくのは時間と労力を必要とするが車窓から観察し、おおよその見当をつけて再訪する方が効率はよい。2日目も下灘駅経由で伊予大洲駅までの沿線の状況を約2時間観察し、記録していく。乗車していて気になったのは線路端の樹木の生長で枝が車両に頻繁に接触する場所が多いこと。おそらく資金面や人材面の苦しい台所事情があるのだろうと推測されるが。

 瀬戸内海に沈む夕日を眺める絶好のロケーションで知られる下灘駅にはまだ午前8時前だというのに観光客が数名いて、その人気の高さをうかがわせる。伊予長浜駅までは通勤・通学客で1両編成の車内は満員の状況だったが、伊予長浜駅でほとんどの客が下車して車内が閑散となった。ここで18分停車なので気分転換にホームに降りてみると古風なベンチがあり、スマホでキハ32と一緒に撮影してみた。また駅前も昭和の雰囲気が漂ういい感じの街並みだった。何だかんだで約2時間の旅はようやく伊予大洲駅に到着。伊予大洲駅には昔ながらの立派な跨線橋が残っていてしばし観察し、駅から近い肱川の鉄橋へ行ってまずは2000系「宇和海」から撮影を開始した。


 さて2日目のここから3日目の午前中までの撮影行の記述は長くなるので省略。機会があればその時の撮影カットはHPにアップする。


 「秋の乗り放題パス」の旅3日目午後はいよいよ松山駅から帰途に就くが、どうしても以前から立ち寄りたかった場所があり、伊予西条駅で途中下車。その場所は「鉄道歴史パーク in SAIJO」でDF50 1号機や0系などを展示している施設である。入館料もわずか300円と良心的な価格設定。展示しているDF50 1号機と41年ぶりの再会に感激し、ついつい激写してしまう。また運転室にも入ることができる。大学生の時に四国ワイド周遊券でDF50 1号機を撮影したシーンを回想しながら時間を過ごすことができた。こっちは年を取ったが、DF50 1号機は手入れをされていて時が止まったかのように当時とその姿は少しも変わっていなかった。帰りの列車の時間も迫り、後ろ髪を引かれる思いで鉄道歴史パークを後にした。



第69回 「秋の乗り放題パス」の旅(初日編)

 今秋も発売されたJR線の普通・快速列車等に3日間乗車できる「秋の乗り放題パス」。この切符を利用し四国への旅に出かけた。ただ山陰から四国までの旅程でネックなのが伯備線の乗り継ぎ列車。早朝の列車に乗っても松山駅到着が17時半ごろになり、丸1日乗車するだけになってしまうのはスケジュールとしてもったいない。そこで考えたのが伯備線内でも比較的運転本数の多い備中高梁駅以南の駅前有料駐車場まで車で行き、そこから「秋の乗り放題パス」を活用するという「荒業」。この方法なら松山駅に12時すぎに到着するのである!
 
 伯備線上りの始発列車に乗車するため午前3時前に自宅を車で出発。雨模様の一般道を走行し総社駅の有料駐車場へ予定通り駐車したころには雨も止んでいた。始発列車とは言え岡山に向かう通勤列車であるため、そこそこの乗車率。岡山駅に到着するとホームはすでに通勤客や旅行客で賑わっていた。ここから快速マリンライナーに乗車し四国入りをめざす。瀬戸大橋を列車で渡るのは5年ぶり。坂出駅で乗り換え観音寺駅に到着し、ホームの自販機で缶コーヒーを購入してベンチで遅い朝食をとったり、駅に入線する「しおかぜ」を撮影したりしながら次の乗り継ぎ列車までのひとときをのんびりと過ごす。この過ごし方が列車の旅の楽しみでもあることを再認識した。こんな感じで総社駅から松山駅まで5本の列車を乗り継ぎ12時過ぎに到着した。

 松山は曇り時々晴れベースの天気で、ここから初撮影となる伊予鉄道へ。古町の車両基地を撮影してから3000系に乗車しロケハン開始。「東京ラブストーリー」最終回のロケ地となった梅津寺駅付近の光線条件がよくここで下車。10月中旬だというのにポロシャツでも汗だくになりながら海岸につながる小さな踏切で3000系・700系を撮影した。ドラマのロケ地とあって観光客の姿もちらほら。梅津寺駅に戻り、ドラマの「例のハンカチ」を入れてホームから3000系を撮影してその列車に乗車し、来る途中ロケハンしておいた西衣山駅で下車。ここでも3000系・700系を撮影し、次はあの有名なダイヤモンドクロスの大手町駅へ向かった。高浜線と路面電車が直角に平面交差するこの場所は、高浜線が1時間に4回(上下線は大手町駅で交換するダイヤなので)通過する時に路面電車が大手町駅前に停車していると2つの車両がアングルに収まる。この撮影地が今夜宿泊するホテルの近くだったので、ついつい日没後も粘ってからのチェックインとなった。

 やはり「荒業」を考え付いた効果は絶大で、午後から伊予鉄道初訪問した収穫が十分にあった。こうして「秋の乗り放題パス」の旅初日が終了した。


戻る
戻る